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2014年06月12日

『時をかける稽古場』超ネタバレあらすじ

脚本・演出の冨坂です。
「あー、この芝居、こんな話だと知ってたら無理してでも見に行ったのに〜!」
こんな思いをしたこと、皆さんもありませんか?僕はあります。近いところだと、ドリルチョコレートの『あの世界』とか。ギリギリ千秋楽で間に合ったのだとヨーロッパ企画の『月とスイートスポット』などがそうです。そして、この作品も、もう少し中身を知ったら「なに!?」となる層のお客様が結構いる気がしています。

もちろん、前情報なしで観に来て頂けて驚いて頂くのが嬉しいというのはあるのですが、それよりも、中身知ったなら来てくれる、という方がいらっしゃるならドンドン中身は公開しまっせ、と。

ということで、『時をかける稽古場』超ネタバレあらすじです。
現在、チラシや当サイトにて公開しているあらすじは以下のものです。

超遅筆な脚本家率いる若手劇団「第六十三小隊」は、勝負をかけた公演を二週間後に控えながら、台本が1ページも無いという危機に瀕していた。
ある日、稽古場にて偶然タイムマシンを発見した劇団員達は起死回生の策を思いつく。
それは「稽古最終日まで行って、完成したあとの台本を取ってくる」というものだった…!


ですが、ここに書かれていることは、時間としても物語全体の4分の1、内容的にはもっと少ない程度の情報量です。ここから物語はスタートする、といっても過言ではありません。
なので、その続きを段階的にお見せしていこうと思います。

何段階かに分かれて完全にネタバレするあらすじが書いてあります。
文字で説明するのが大変煩雑な上に、割とザックリではありますが、物語の最後まで書いてあります。

映画のあらすじを的確にラストシーンまでまとめるのに定評のあるgoo映画を目指した、『時をかける稽古』超ネタバレあらすじ、それでは行きます。







《ネタバレ第一段階》
 2014年5月28日(水)本番二週間前。
 超遅筆な脚本家アサコシ率いる若手劇団「第六十三小隊」は、勝負をかけた公演『backspace』を二週間前に控えながら、台本が1ページもないという危機に瀕していた。
 劇団員のカシマは「はよ書けや」と説教をし、アサコシも口では「次の稽古までには」と言うものの、実現する気配はなさそうである。
 今日は稽古場に舞台面を再現して稽古をすることで、なんとかアイデアを捻り出そうとしている。
 
 舞台をバミるためにビニールテープを貼っていると、出演者の一人・ホソイが突如光に包まれ、違う服装になって現れる。不思議がり、事情を聞く皆に対し、ホソイは「今は本番前日」「もう台本は出来た」と口にするなど、意味不明な言動をみせる。

 再度光に包まれて消え、元の格好に戻ったホソイは「本番前日に行ってた」と話すが、皆はそれを到底信じることができない。
 アサコシにより「本番前日のホソイと今のホソイが入れ替わっていたのではないか」という仮説が立てられ、検証のためにホソイに再度同じことをさせたところ、再び同じ現象が起こったことから、このビニールテープが未来の自分と入れ替わるタイムマシンであることが判明。

 その後のシオバラやアツシの検証により、このビニールテープは、
・床に貼ったテープで囲まれた中の物体と、2週間後の同じ物体とを入れ替える
・最初に移動した、2週間の間だけ移動できる。
・床に貼られたテープは一度発動するとただのビニールテープになる
という性質を持つタイムマシンであることが判明する。
 そしてアツシは2週間後の世界で舞台初挑戦のアイドルである出演者・エナミに手を出したことが問題になり、降板させられていたことが判明する。

 タイムマシンを得たことにより盛り上がる皆と、信じ難い未来を知って落ち込むアツシ。ツワノとコータは「未来に行って完成後の台本を取ってくる」という作戦を決行する。
 作戦はあっさりと成功し台本は手に入るが、それを読んだアサコシが「これは自分の書いたものではない」と台本の使用を拒否。
皆は「でも最終的にはお前が書くんだよ」と説得するが、アサコシは「今の世界と、台本を取ってきた2週間後は別の世界であり、別の自分が書いたものだから使いたくない」「近い並行世界だから同じようなことが起きるはずであり、これを使わなくても2週間後の世界と同じように自力で書き上げられる」と強硬に反対する。苛立つシオバラの手によって、強制的に未来に飛ばされてしまう。

 皆は、入れ替わって未来からやってきた本番前日のアサコシに「ここでやれば2週間余分に稽古できる」と演出を依頼、アサコシもそれを受け入れ、本番前日のアサコシが本番二週間前の座組の演出家に就任してしまう。

 稽古を進めていく中で、アサコシは「手本を見せて欲しい」と、タイムマシンを使ってシオバラを入れ替え、本番一日前のシオバラを呼び寄せる。
 その後、本番前日のメンバーの手によって、次々と入れ替えられ、本番前日に送られていく二週間前の面々。久しぶりに呼び出されたネコソギを含め、ついには全員が入れ替えられてしまい、本番二週間前の世界は、稽古時間を欲する本番前日の座組みに乗っ取られてしまう。





《ネタバレ第二段階》





 2014年6月10日(火)本番前日。
 本番前日の座組みと入れ替えられ、6月10日に送られた本番二週間前の座組みの面々は、タイムマシンのビニテが手元にないために元の世界に戻る手段を失っていた。そして、台本も無く、稽古もしていない状態で本番前日の世界に放り出されるという絶望の淵に立たされていた。
 
 稽古場に来た本番前日の世界の制作のキムラや、演出助手のマエダに時間移動の事情を説明し、劇場入りの延期を訴えるも、全く信じてもらえない。
 ようやく信じ始めた二人から物販で販売する為の台本を受け取る皆。ツワノがこの二週間でいつの間にか彼女にフラレていたり、まだ何もしていない本番二週間前のアツシが降板済みになっている等、いわれのない不利益を被りまくりながらも、なんとか明日の本番の為の稽古は再開される。
 そして、自分の台本ではないことを我慢して演出するアサコシが初めて見る台本を理解できておらず、演出助手のマエダにその座を取って代わられていく…。





《ネタバレ第三段階》





 演出助手のマエダが隠れた演出手腕を発揮し始めたのも束の間、クマガイ・シオバラ・コータが消え、全く違う服装の三人が現れる。驚く皆に対し、三人は「この公演をやるために五年後の世界から来た」と告げるのだった。

 五年後の三人の口より、この第六十三小隊は既に解散していることが明かされる。アサコシは演劇を辞めて実家の北海道に帰り、カシマは女優業こそ続けているものの舞台は辞め、他の皆もバラバラになっている状態。そしてマエダは若手女性劇作家・演出家として爆発的に売れているなど、それぞれの五年後の姿が明らかになっていく。

 五年後の三人は嬉々として稽古に混ざろうとするが、今いる他のメンバーが本番二週間前からやってきた稽古をしていない状態だと知り、落胆。
 そんな中、ネコソギの発言により
・五年後のクマガイが五年間移動できたということは、このタイムマシンビニテは未使用で新品だった
・五年後の世界で新品のビニテがあったということは、このタイムマシンビニテもそれぞれの世界に一つずつ存在する
・この本番前日の世界にある未使用のタイムマシンビニテを発見すれば、元の時代に戻ることが可能
という打開策が示される。

 しかし、クマガイが五年後の世界のビニテをもって移動してきた為、もともと本番前日の世界にあったタイムマシンビニテは入れ替わって五年後の世界に飛ばされていると判明。
 元の世界に戻りたい本番前日の世界の皆は、五年後から来た三人に、五年後のビニテを持って帰るように促す。 しかし、五年後の三人は頑なに帰ることを拒む。

 そして五年後のクマガイの口から、「この公演はクマガイのインフルエンザにより本番当日に中止になる」という未来が明かされる。クマガイは、この世界で同じことが起こるのを避けるために交代しに来たのだった。
 「元の二週間前の時代に戻ると、ほぼ確実に、本番当日に中止になる」という未来を突きつけられる、本番二週間前の面々。また、その場合には、いま二週間前に滞在している本番前日の座組みも元に戻り、明日にでも同じ事態に直面することとなる。
 公演の成功のために入れ替わりを主張する五年後のクマガイ達と、戸惑う皆。

 しかし、またもネコソギが「でもそもそも本番前日と本番二週間前が入れ替わっている為、奇跡的に本番時期とインフルエンザの発症時期がズレているのでは?」「入れ替わったままにするか、元に戻るかは別として、五年後のクマガイが変わる必要はなかった」と発見。どちらにせよ五年後の三人が来ることによるメリットはなくなっていることを告げ、元の時代に返ることを促す。

 それでも帰ることを拒む五年後の三人。三人の本当の動機が、この世界のインフルエンザを回避することではなく、自分の後悔を払拭することであると露見し始める。

 「五年後ではもうこのメンバーで集まることが出来ない。だからここでこの公演をやらせてくれ」と訴える三人に対し、アサコシは「俺達を全員五年後に送れ」と突飛な提案を持ちかける。驚く皆をよそに「現行の皆を五年後に送れば、入れ替わりで五年後のメンバーが全員この場に集まる」と説明、「公演をやりたいならそのメンバーでやればいい。その代わり、それでもできないなら諦めろ」と持ちかける。
 そして、五年後のメンバーで集まって話し合いをさせるために、本番二週間前の皆は五年間のタイムマシンビニテを使って五年後に飛ぶのだった。





《ネタバレ第四段階》





 2014年6月10日(火)の上記の15分後。
 五年後に行ったはずの本番二週間前の座組みは、すぐに本番前日の世界に戻ってくる。残って事態を見守った本番前日のキムラとマエダによると、五年後の皆は集まったものの、この世界で『backspace』をやり直すことはせず、すぐに五年後に帰ったという。
 五年後の皆があまりにあっさり諦めたことに意外そうな本番二週間前の皆。キムラやマエダは「五年後の人達にしかわからない事情があるんじゃない?」と告げる。
 なお、五年後の世界で、アサコシは実家に帰りつつも一人で台本を書いており、カシマはそれを期待して待っているが故に過去に戻ってこなかった、と明らかになる。

 そして、五年後の皆がビニテを持って元の時代に帰ったことにより、もともと本番前日の世界に存在していたタイムマシンビニテも発見される。
 その上で、インフルエンザを覚悟で元の世界に戻るか、インフルエンザを避けてこの世界で明日本番を迎えるか、話し合いが始まろうとする。
 しかし、この世界のキムラとマエダは「こことここも別の世界の座組みだから、元に戻らなきゃいけない」「それぞれの世界がインフルエンザを避ける努力をしよう」と発言。
 日付け的に最も公演中止に近い、本番前日の世界の人間であるキムラとマエダにそこまで言われ、納得するしかない本番二週間前の面々。本番前日の世界のタイムマシンビニテを使って、元の世界に戻ろうとする。

 しかし、ビニテで囲まれた輪の中から、クマガイが一人抜ける。そして「インフルエンザになるのは自分だけなのだから、自分だけ入れ替わったままでいる」「公演の成功の為には自分が別の世界で公演をやるしかない」と言い出す。
 自分が降板して違う世界の自分が代役になると思えばいい、と言うクマガイ。しかしアサコシは「今のアツシがまだ問題を起こしていないのと同じように、今のクマガイさんもまだインフルエンザになっていない。だからまだ降板させる理由がない。あなたは理由もなく降板するのか」と説く。そして「自分がどうしても一緒にやりたくてオファーしたのは、このクマガイさんだ」と、再度出演を打診。
 ついにクマガイも折れ、皆で元の世界に戻ることを承諾するのだった。

◎2014年5月28日(水)本番二週間前。
 元の世界に戻ってきた、本番二週間前の面々。未来の自分のケータイを見たエナミの口から、アツシの降板の真相が語られる。本番前日の世界ではエナミとアツシは交際をしており、アツシの降板はそれを庇う為に「一方的に手を出した」と装ったものだった。
 クマガイは気持ちを切り替えてインフルエンザの予防に努め、予防注射を打つために明日の遅刻を申し出る。
 パチンコ屋にいる本番前日の自分と入れ替わり、稽古場に戻ってきたアツシ。未来の自分の真相を知らないアツシはエナミに「手ぇ出すとかしないからね?」と宣言、エナミは未来を変えるために頷くのだった。
 公演だけでなく、ひとり劇団の未来を気にするカシマ。結局またアサコシに「はよ書けや」と説教をしている。
 そんな中、「この世界が元の5/28と同じ世界とは限らない」「違う世界ならまた新たなタイムマシンビニテがあるはず」と言い出すネコソギ。それを真に受けて探し始めるシオバラ・コータ・ツワノ。
 そこに、何も知らない本番二週間前のマエダとキムラがやってくる。タイムマシンを探している、と聞き「稽古しろよ」と呟くのだった。
 
この記事へのコメント
高校一年生です。演劇の秋の大会でこの演目をやらせていただくことになりました。とても面白くて斬新な発想だと思いました。心より尊敬します。これからも頑張ってください。
Posted by 広瀬ゆう at 2018年06月30日 20:49
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